最終章 さようなら沖縄、また来ます。

やだやだやだやだ帰りたくない!!!

だってまだ美ら海水族館も首里城もひめゆりの塔も行ってないし、海ぶどうもマンゴーもゴーヤも食べてないんだよ!!?帰れるわけないじゃん???

しかし飛行機の時間は刻々と近づいていた。……ついでに期末試験の日程も再来週に迫っていた。

早川と黒田は空港で、直前に来られなくなった向井のためにお土産を選んでいた。

「これがいいんじゃない?」

黒田が指さしたのは、可愛くデフォルメされた色鮮やかなシーサーの置き物。

「お、いいじゃん」

と早川が手に取ったのは、黒田が指さしたものの隣にあったシーサーの置き物。デフォルメ無しのガチシーサーで、若干怖い。

「う、うん、なんか目が怖いけど……」

「可愛いじゃん、うん、これにしよう!」

「可愛い……?そうかな、うん……いいと思う」

男子へのお土産は男子が選んだ方が正解だ。

 

行きの飛行機で、思っていたより荷物の重量制限がゆるゆるだと学習した我々は、とにかく手荷物を二つにしさえすればいいんだろと、鞄にお土産を詰め込みまくった。

荷物検査も終わり、とうとう搭乗口へ。飛行機の席はくじで決めた。

「俺、窓際がいい!!」

誰が言ったでしょうか。

正解はみんなの早川パパでした。子どもか。

「いいよ、代わってあげる」

と、髙川ママ。大人だ。

飛行機の席は、

A 早川   内山
B 髙川
C 菊地

D 空席(向井)
E 山谷
F 黒田

乗客のほぼ全員が席につき、CAさんが見回りに来た時、内山が立ち上がった。

「そこの空席、キャンセルなので、俺がそっちにいってもいいですか!?」

「寂しがり屋かよ」

CAさんを若干困惑させ、主張が強い寂しがり屋はD席にやって来た。まあ、山谷と黒田だけではツッコミ不在のよく分からない会話が繰り広げられることは目に見えていたため、二人は内山を歓迎した。が、疲れで気が狂ったのか、14期希少種のツッコミ・内山はアイデンティティを放棄。ボケを連発し、仕方なく山谷がツッコミ役にまわるという大変珍しい状況が形成された。

飛行機が離陸して少し経つと、駄々をこねた早川パパも寂しがり屋内山も、皆すぐに寝落ちてしまった。

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「あっという間だったな」

「本当にね」

遠ざかって行く島々を窓から眺めながら、私は感慨に耽った。昨年の合同ゼミ、関西への旅行では、渉外コンビの私と山谷は無事に計画を遂行することにてんやわんやだった。私の年に二回あるサークルの合宿も、朝の6時半から夜まで稽古、その後は社会人の方々と遅くまで飲み会、といった気の抜けないスケジュール。だから「明日は何する?」なんて言いながら肉を焼いて酒を飲み、寝て起きたらみんなで朝ごはんを作る、そんな旅行が楽しくて、心地よくて仕方なかった。

もうほんの数ヶ月で、私たちは別々の道へと進んで行く。だから学生のうちに、皆と一緒に色んな所に行って、色んなものを見たい。そして、先輩方のように、大学を卒業しても崩れることない絆を作っていきたい。

そんなこんなで我々の旅は終了!内山幹事ありがとう!次こそは東を連れていくぞ!

俺たちの冒険はこれからだ!

~ご愛読ありがとうございました!黒田先生の次回作に乞うご期待!!

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第五章 MAD MAYUX~髙川・黒田 怒りの古宇利大橋~

「いっっってえええええ!!!!!」

肌を焼きすぎた菊地、早川の悲痛な叫びが目覚ましがわりに響く朝。我々の旅の最終日である。

昼の便で帰る神谷を送る組と、掃除片付けをしてコテージのチェックアウトをする組とに分かれた。結局、例のコンロを掃除したのは菊地だった。あれはトングで遠くへ飛ばしてくれた。

チェックアウトを済ませ、我々六人は合流。二台のレンタカーで古宇利大橋へと向かった。

古宇利大橋は本島から古宇利島へ架かる橋だ。その橋から眺める風景は沖縄の中でも屈指の絶景と言われる。

古宇利大橋を渡る前に記念撮影。砂浜に打ち上げられた珊瑚や地層が見える崖、そこにいるカニやヤドカリを見て過ごした。

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そろそろお昼ごはんの時間だ。車を停めた場所にもオシャレなお店があったが、せっかくだから古宇利島で食べたい。とりあえず、車で古宇利大橋を渡ることにした。

古宇利大橋から見る景色に、我々は感嘆しっぱなしだった。美しい水色と深い青色に彩られた海が、果てしなく続いている。思えば沖縄に来てから三日間、夜に雨が降りはしたが、我々が外にいる間は絶え間なく晴れ渡っていた。その日も太陽の光が反射して、海はキラキラと輝いて見えた。

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古宇利大橋を渡り終え、近くの道の駅のような場所に入った。……思ってたのと違う。そろそろ、クーラーの効いた場所でごはん食べたい。我々は大橋を引き返すことにした。

「黒田、髙川、運転すれば?」

内山と早川が軽口を叩く。黒田は「無理だって~~~」と軽口で返すつもりだった。しかし。

「あー、うん、いいよ」

髙川が言い放った言葉に、黒田は凍りついた。「私たち、ペーパードライバーだからね」と言って笑い合っていたではないか。それなのに……これは裏切りと受け取ってもよろしいだろうか。

と自分勝手に呆然としていたが、実際、髙川は時々自分の家の近くを自家用車で運転する練習はしていた。今年の冬に二年半ぶり、免許を取って初めて運転し、自宅付近の塀に激突しそうになったとかいう戯け者とは違うのだ。

髙川は余裕の表情で運転席に座り出した。黒田はもう一台の車の前に立った。私も運転すべきか?ここから橋の先までは、信号もない一本道だ。いやしかし、免許を取ってから丸三年、一度しか運転したことがない。その一度で父親から「お前には才能がない」と諦められた本物の下手くそだ。

黒田は後部座席に乗り込んだ。

天使(そうよ、無理することないわ。安全第一。この間、東も言っていたじゃない。「出来ないことはすべきではない」)
悪魔(いやいや大丈夫だよ、ただの一本道さ。事故りようがない。何よりもお前、それじゃノリ悪いぜ?お前からノリの良さをとったら何が残る?)
???(MAYUX? Are you MAYUX? How are you? How are you?)
天使(失礼ね、ノリの良さ以外にも良いところはあるわ……えっと、あの、その……ちょっと今ド忘れしただけで)

「ああああぁぁ……運転、します……」

黒田は山谷、早川、自分の命を生贄に、ノリをとった。

~髙川車の感想~
内山「最初駐車場から出るとき凄いスピードを出すからまじで焦ったんだけど、慣れてきたらちゃんと普通に運転できてたよ」
髙川「家の車のアクセルより効きが良かったんだよね」

~黒田車の感想~
黒田「きちんと真っ直ぐ運転することができました。楽しかったです」
早川「怖すぎる。駐車場出るために左折右折する度にブレーキ踏むし」
山谷「駐車が致命的に下手。なぜ白線から45度も傾いて停めるのか」
内山「黒田、帰りの運転も頑張れよ」
黒田「うん!」
早川&山谷「絶対にやめてくれ」

第四章 夏の世の夢(後編)~飛んで火に入る夏の虫事件~

※※※ 残酷描写と虫が苦手な方は読まないでください ※※※

BBQが終わった後。

我々はBBQの火を利用して花火を始めた。花火は前日にドンキで適当に購入したもので、およそ百数十本ある。

最初のうちは各々好きなように火をつけて遊んでいたが、我々は小学生ではない。すぐに飽きてしまった。

そこで、早川の持つ一眼レフを使って光で文字を作ることにした。選んだ文字は我らが “KOHNO♡”。……何も言うまい。

そしてこちらが初挑戦結果。

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OH, NO!!

しかし、難易度が高ければ高いほど、燃えちゃう我々。挑戦しては失敗しを繰り返し、あれほどあった花火を物の見事に消費し尽くしてしまった。

そんな(おこちゃまな)我々の努力の成果がこちら。

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Kの感じがおしゃん。ということにしておこう。

そんな我々に気付かれないよう、蠢き近づいてくるものがいた。そいつは人類が姿を表すよりずっと前、約三憶四千億年前から地球上に存在する。その圧倒的な生命力と、いざと言う時の頭脳は、時に人類を凌駕する……。

その日、人類は思い出した。
奴らに支配されていた恐怖を。
鳥籠の中に囚われていた屈辱を。

奴を駆逐するため、我々人類は幾度もワナをしかけ、戦い続けてきた。しかし未だ抹消には至っていない。奴を「漆黒の使者」、略してGと呼ぼう。

そのGは奇行種だった。自ら燃え盛るBBQコンロの中に這い上って来たのだ。思ったより熱かったのだろう。苦しみながら、火のついていないコンロの方へと逃げていった。

それを見つけた我々は困惑した。Gは重要駆逐対象だ。ここで逃がしてしまっては、もしかしたら今夜寝込みを襲われることになるかもしれない。それだけは絶対に避けなければならない。しかし奴も、こんなことは言いたくないが、我々と同じ「生き物」だ。奴らからすれば、こんな草むらでBBQをしている我々の方が「侵入者」であり、不自然な存在。自ら手を下すことは避けたいところだ。

「どうしたら良い……」

我々はその答えを知っていた。しかし、知らない「ふり」をした。そこまで無情には……なれない。

「ど、どうしよう!出てきちゃうよ……!」

女子の悲痛な叫び。痺れを切らした早川・イェーガーがBBQコンロに手を伸ばした。

「うぉぉおおおおおおおお!!!!!」

カチッ

チッチッチッ

ボッ

早川・イェーガーの紅蓮の炎は我々人類を滅亡から救ったのであった。

 

~黒田の感想~
「私、明日絶対コンロの掃除しないから!!!」

第四章 夏の世の夢(前編)~山谷肉事件~

別に沖縄でする必要はないが、大学生としてコテージに泊まったからにはついついやりたくなってしまうこと……それはBBQ。

本当は前日にしようと思っていたがガス欠のために出来なかった。その日は朝から内山幹事が管理会社に電話をかけ、対応ガスボンベを手に入れるという準備っぷりだったため、早川肉曹長もご満悦だ。

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焼きには早川肉曹長、山谷二等肉士が交代で入った。美味しい肉が焼ければ焼けるほど彼らは昇格し、反対に、焼網の目が荒いため、火の中に肉を落としてしまうほど降格する。

BBQも後半戦。

「このソーセージ、まじで美味しい……!」

ドン・菊地の一言で、早川はとうとう肉幕僚長にまで昇り詰めた。

肉幕僚長に追いつけ追い越せ。山谷肉士長も骨付きチキンを焼く。

「鶏肉は火が通りにくいから、よくよく焼いた方がいいよ」

と、髙川料理長。

しかし山谷肉士長は、早く食らいつきたく痺れを切らしたのか、料理長の助言もそこそこに、肉を皿に上げ出した。

「まあ、けっこう焼いたし、大丈夫だろう」

パリパリの皮にふっくらとした身。見た目はとても美味しそうだ。皆で焼きたてチキンにかぶりつく。山谷肉士長の昇格も目前と思えた。しかし。

「おい山谷!!鶏肉の中、めっちゃ赤いぞ!!どういうことだ!!」

早川肉幕僚長から怒号が飛んだ。

「本当だ、これ、生焼けだよ!」

神谷海兵隊員も持っていたチキンを放り出す。

すると山谷肉士長、黒田洗濯長以外は皆、ほんの少し口をつけたばかりの肉を皿に置いた。

「だ、大丈夫です!ほんの少し赤いくらい、食べられますよ!」

必死の形相で訴え、二本目の肉を手にした山谷肉士長に、皆白い目を向ける。未だ食べ続ける黒田洗濯長も、面倒だからと口を挟まない。

「山谷、お前は降格などしない。解雇だ!」

内山幹事の言葉が、無職山谷の胸に重くのしかかった。

落ち込む山谷を横目に、早川肉幕僚長は呆れ顔で、皆の食べかけた肉を焼き直した。

 

その夜……

「やまやあああああああ!!!!!あいつのせいでえええええええ!!!!」

早川肉幕僚長は何度もトイレに駆け込むこととなった。

 

~山谷の感想~
「コーラを買ったから、髙川さんに振ってもらいたい」

第三章 青い珊瑚礁~黒田遭難事件~

新たな地……それはまたしても海であった。我々は沖縄観光の定番、シュノーケリングをするために、車で数十分移動してきたのだ。

「イケパラだあ……」

シュノーケリングを主催している会社……そこはまさしく楽園であった。目鼻立ちのくっきりした沖縄顔。真っ黒に日焼けした肌。筋肉がこれでもかと引き締まった上半身を顕にしたイケメンたちが眩しい笑顔と明るい声で我々を迎えてくれた。沖縄に来て本当によかった。

気持ちの良い潮風に吹かれながら、初心者にも分かりやすく、イケメンお兄さんが器具の使い方や泳ぎ方をイケメンに教えてくれている間に、我々の乗る船は沖に到着した。

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「みんな、海に入ってみよう!泳ぎが心配な女の子は俺が引っ張って行くから、この浮き袋につかまってね!」

まっさきに神谷がつかまる。

黒田は迷っていた。彼女は小学生の頃スイミング教室に通っており二級くらいまでは取得したが、耳キーンなるのが嫌でやめてしまってからはどんどん泳ぎが下手になっていった。浮き袋につかまってイケメンの隣でニヨニヨしながら泳いだ方が良いだろうか。しかし小学生の頃、同じようにシュノーケリングをした時は普通に泳げていた。黒田は自分の運動神経を信じ、自力で泳ぐことに決めた。

「これから『青の洞窟』に向かいます!魚たちを見ながらついてきてください!」

え?もう魚見えるの?

そう思い自分の真下を見てみる……。

黒田の思う海とは、瀬戸内海の茶色く濁った海水。黒田の思う魚とは、スーパーで売られている美味しそうな切り身か、実家近くのため池になぜか繁殖しているブラックバスであった。

しかし沖縄の海には、水族館でしか見たことが無いほどの美しい光景が広がっていた。

ライフジャケット無しでは怖くて気を失いそうな程の深さの海。海水が透明で、その海底まで優に見渡すことができた。文字通り青い珊瑚礁と、黄色や青の色とりどりの魚たちが自分のすぐ真下を泳いでゆき、ダイビングをしている人たちと戯れている。

「美味しそう……じゃなくて、綺麗……」

うっとりと目を細めると、笑いジワから目と鼻に水が入ってきた。一旦顔を上げてゴーグルから水を出す。また海面に顔をつける。またニヨニヨして水が入る。水を出す……。

そうこうしているうちに、黒田はみんなから遅れを取ってしまった。髙川の足ヒレが少し遠くに見える。いけない、本気で泳がなければ。足ヒレを大きく動かして皆に追いつこうとした。

あれ……?

進まない。いや、進んではいるが、髙川の足ヒレが全く近づかない、どころが、どんどん距離を取られている……。

それも当然。髙川選手の通っていた中高の体育では六年間、ひたすら水泳とダンスとなんちゃらばかりをしており、授業の一環として海での遠泳も取り入れていた。

要するに、学校のプールで25mをやっとのことで泳いでいた黒田選手には、髙川選手に追いつくことなど不可能なのだ。

ドクン……

黒田の頭にある情景が浮かんだ。一年前の夏休み、ゼミのキャンプ。お兄さんが支える川下りのボート。最後尾の私が乗ろうとした瞬間、力尽きたお兄さん。目の前で流れて行くボート。ゼミ生の皆の困惑した表情。「もしもボートから落ちた人がいた場合、戻ることは出来ないので、置いていきます」説明するお兄さんの声が蘇る。私の川下りはボートに乗ることなく終わるのか。約一時間か。三角座りで砂いじりでもしてようか。

「モゴ モゴモゴモゴ?(黒田、大丈夫か?)」

黒田の目の前に現れたのは、水の中では最強の男、マーメイド内山だった。

マーメイド兼河野ゼミのライフセーバーとして、一応最後尾を泳ごうとしたところ、遅れた黒田を発見したのである。

なんていいやつなんだ。神か。記憶男とかスピーカーとか内山クラウドとか言って、いつも冷たくあたってごめん。

内山は黒田の手を握り、前へ引きながら泳いだ。

トプン……

あれ?なんだこれ……やばい、手を離して内山!

黒田の心の叫びなど聞こえない内山は、黒田の手を引きどんどんと前へ進んで行く。

このままでは……

手を握られ、凄いスピードで引っ張られながら、黒田の頭は真っ白になり、視界は霞んできた。

トプン……

限界……。

少しして、内山がやっと黒田の手を離し、止まった。黒田はすかさず、顔を上げた。

ザパッ

ゴーグルに手をかけ、その中に溜まりに溜まった海水を落とした。

あまりに速く泳ぐからどんどんゴーグルに水が入ってくるし、顔上げて泳ぐなんて芸当は出来ないし。視界は水に遮られ、ほぼ何も見えず、もう少しでゴーグル自体が取れるところであった。危なかった。

ふう、スッキリした。あ。

「モゴモゴ モゴモゴ(内山、ありがとう)」

川や海やで置いていかれがちな黒田は途中からほとんど綺麗な海を見ることが出来なかったが、内山への好感度が爆上がりした。

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~黒田の感想~
「餌やってる時、魚と目が合った。キモかった」

第二章 眼鏡を外して~山の女と海~

「せーのっ、海だーーー!!!」

みたいなことはしなかった。

そんな若々しさは捨ててきた。むしろ。

「暑い……死ぬ……」

これは某氏のインスタに書いてあって初めて知ったことだが、沖縄の紫外線量は本土の4倍あるらしい。

そんな中、真っ白な砂浜の上で「ビーチパラソル設置お断り(使いたければ金払え)」「海の近くに陣取るな(陣取りたければ金払え)」システムに拘束された我々は、海から遠い砂浜の端で直射日光を浴びながらビニールシートを敷くよりほか無かった。某高級ホテルのビーチだから仕方ない。おかげで数人の携帯電話が「高温注意」で瀕死状態になったが。

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このビーチに着いたのは水曜日の昼前。前日については、昼頃に那覇空港に到着し、そのまま国際通りを見て回って牛丼屋くらい安いソーキそば屋で沖縄初飯を食べたことや、コテージの外装が思ってた数倍ボロかったけど内装はなかなかいい感じだったこと、コテージの近くの海に私服で行き、結局内山以外はほぼずぶ濡れで帰ってきたこと、BBQをしようと思ったらガス欠で結局ホットプレート大会になったことなど、そこそこリア充っぽく楽しんだが(ネタにしずらいので)省略。

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さて、どんなにキラキラ感の薄れ老いた四年生でも、やはり美しい沖縄の海にはドキドキ☆ワクワクしてしまうものである。準備の出来た者たちから、次々と海に向かって突進し始めた。……一人を除いては。

神谷。山を愛し山に愛された女。男でも悲鳴を上げるような岩岩した急な山道を、彼女はいとも簡単に、息を切らすことなく登ってゆく。小柄な体格ながら、彼女の身体的・精神的強さは誰もが認めるところだ。そんな神谷の天敵は、海。「前世、海で死んだかもしれないレベルで海が怖い」らしい。なんでも得体の知れないものが海底にいるように思え、海藻は女の人の長い髪のように思えてしまうとか。

そんな神谷と海で楽しく遊ぶために出動したのは水を愛し水に愛された男、マーメイド内山。彼は陸上競技ではポンコツの類だが、水中では誰にも負けない人魚力を発揮する。人ひとり寝ころべるサイズのボード型浮き輪に寝転がる神谷と、彼女を乗せ沖へ沖へと引っ張って行く内山の姿は、馬車と馬車馬さながらだ。

海は明るい水色の場所と、色の暗い場所とにはっきりと分かれていた。暗い場所は海の底にビッシリと海藻が生えており、ふわふわしたものが足に絡みついてきて大変気持ちが悪い。

ちょうど足が海底につくかつかないかくらいの場所で、我々は無謀にもビーチバレーを始めた。勿論皆、自分の両手が届く範囲でしかボールを拾うことが出来ないため、パスは3回も続きはしなかった。

加えて波に流されるボールを捕まえることがなかなか難しい。飛ばされすぎたボールを追っかけて必死で泳いだところ結局砂浜までたどり着いてしまった愉快な菊地さんを沖から眺めて爆笑するという最低な後輩たちにキレることなくまたボールを持って泳いで来てくれた菊地さんにまじで感謝。

我々河野ゼミ7人は持てる限りの英智を結集し「ビーチバレーはもっと浜辺でやるべきだ」という結論を導き出すに至った。

結局3時間程度泳いだり水遊びをしたりを繰り返し、我々は次の地へと旅立った。その数時間の間に、神谷は見事、海への恐怖を克服することが出来たのであった。

 

~山谷の感想~
「目が悪くて女子の水着姿をはっきりと拝むことが出来なかった……俺は未だかつてこんなにも自分の乱視を恨んだことは無かったよ」

第一章 旅立ち前夜~山谷失踪事件~

照りつける太陽、青い海と白い砂浜……。

我々河野ゼミ14期の有志7人は「東京には無い夏」を追い求め、遠い海の果て“OKINAWA”へと旅立った……。

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「おい!山谷はどこだ!?(小声)」
「だめだ……全員の爆睡顔を見て回ったが、やはり見つからない!(小声)」

時刻は午前3時半前。我々は数十分後に出発する成田行きのバスに乗るために、大江戸温泉物語の仮眠室で目を覚ました。が、皆と共に寝ていたはずの山谷が、すっかり姿を消してしまったのである。

大江戸温泉物語は、東京お台場にある人気の観光温泉施設。広くて清潔、手ぶらで快適に温泉を堪能出来るだけでなく、和風な外観や夏祭り風の内装に工夫を凝らした上、常にアニメとのコラボ展示も行っており、子供から大人、更にはヲタクまで楽しめるのが人気の所以だ。成田への深夜バスを利用すれば破格の値段で入館することが出来るため、旅費を安く抑えたい体力のある学生にはオススメだ。

さて、そういえばあの山谷、ゼミ終了後に行きつけのフォレスタで酒を飲んでいたが、その後はいつものように暴れる様子を見せず静かなものだった。まさか今頃になってお得意のぶっ飛んだ行動(例えば1人でふらふらと温泉に向かい風呂で寝ている、など)を取っているのではないか。

バスの出発まで時間が無い。いっそ置いて行くか。メンバー内で一番のヤバい奴だ。置いて行けばこれからの旅路が数倍楽になるであろうことは目に見えていた。しかし……やはり、彼がいなければ寂しい。山谷いじりなしではきっと、この旅行中に訪れるふとした沈黙を埋めることが出来ず、気まずい雰囲気が漂うことになるだろう。

「なあ、一人だけ、顔が見えない奴がいるんだけど」

それは頭から爪先まで、すっぽりとタオルケットで身を覆い、髙川の隣に横たわっていた。端的に言って、怖い。まるでミイラだ。

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こいつが山谷か?だとすれば、髙川の隣で寝るなど言語道断。とりあえずこのまま首絞めとくか。

殺気を感じてか、ミイラは自ら両手両足の封印を解き、背伸びをしてから顔を顕にした。

「ん~~、おはよ~~……」

なんだ、黒田か。女子がそんな格好で寝るな、色気がない。

寝起きの黒田は、皆の蔑むような表情に迎えられた。

「いたよ!!(小声)」

我々は神谷の声が聞こえた方向、仮眠室の外へと駆けた。

ゴイン ゴイン ゴイン ゴイン……

深夜の静かな廊下に、マッサージチェアの機械音だけが響く。四台並べられたそれらのうち、最も手前の一つに眼鏡の男が座っていた。山谷はこちらに目を向けようともせず、ひたすらに空を見つめていた。彼の手に握られた紙パックのコーヒー牛乳のストローは、もはや彼の一部のように、唇から離れることは無かった。

「おい山谷、探したぞ……!」

そう声をかけるとようやく、山谷は我々の方を向き、なぜかキラキラとした瞳で笑いかけた。

「おはよう」

こうして集団行動が苦手な我々の旅が始まった。

 

 

~山谷の感想~
「俺が飛行場で朝からビールを飲んでしまったのは、皆に拐かされたからだ!自分から進んで飲んだんじゃないぞ!」

【連載終了のお知らせと謝罪】

一年に渡り、無駄なアイデアを放出してきた私のコラム投稿も、ここらで終わりにしたいと思います。短い間でしたが、どれだけの読者がいて、どれだけの人が笑ってくれたのでしょうか。投稿する度に、反応がもらえると小喜びし、既読だけが重なっていくと首を絞められている感覚に陥る。そんな一喜一憂からも解放されるなと思うと清々しい気持ちです。嘘です、さみしいです。

本来ならばこの学生コラムというページは、学生が学生なりに考えた政治的事象についての意見などを投稿する場であったでしょう。別にゼミ内での出来事についてほんわかと書くのでも良かったかもしれません。

しかし私はというと、薫がマフィアをやったり坂田が時をかけたり、あげくのはてにSFチックに自分の偏食っぷりを語るといった滅茶苦茶なことをやっていました。流行り物50%、薫25%りくお20%、その他5%、政治0%で構成されていました。

とにかく思いつくがままにあらゆるクソアイデアを撒き散らし、然るべき投稿がされるべきゼミのコラムを私物化していたことをここで謝罪いたします。あらしょーさんが書いてくれた旅行記とかもありましたが、僕がどんどん更新していったおかげで下の方に行ってしまったかもしれません。あ、僕は全部見ましたよ、面白かったです!

今から考えると、就活、卒論、内定者課題などなど何かに追い詰められている時はいつも、ここに逃げ込んでいました。つまりこのコラムがなければやっていけなかったと思います。人生詰んでいたと思います。酔ってタクシーの中でプリプリしたと思います。それほど僕にとって奇妙なゼミ生について書いたり、奇妙な自分を紹介することにやりがいを感じていたということです。

そしてこれだけ自由にやって何一つ陰口悪口を聞かないのは、本当に君たちがいい人か本当に情報統制が取れているかどちらかでしょうね。前者であることを切に願います。

ゼミ生を作品に登場させられなくなるのは寂しいですが、もうそろそろ私もいかなくてはなりません。いつまでもMacbookairに真顔で向き合ってたまにニヤっとか一人でやってたらダメなのです。

と、いうことで新しくブログを始めるので、もしよろしければフォローしてくだされ。当分は新社会人として感じたことを中心に書いていく(予定)ので、僕の隠れファンはもちろん、就活中の14期、新社会人の13期も楽しんでもらえると思います。http://ryomino941.blog.fc2.com

今までありがとう!では!

エピソード7 カルパスの覚醒

遠い昔はるか銀河の彼方で・・・

卑劣な香港料理は倒した。しかし直後に発ったLAでまた苦難が待ち受けていた。大軍で攻めてくるアメリカ料理(?)に対してなすすべはなく、ハンバーガー、ブリトー、ピザの大量摂取で腹を下す毎日が続いたのだった。

 それに加え、昼から飲み、部屋でも飲み、飛行機でも飲み、朝起きても飲むという、ビール三杯で死ぬ美濃部には耐えられないほどのアルコールを摂取し、胃にさらなるダメージを蓄積していた。

 無事アメリカから帰り、追いコンも経て安心する美濃部だったが、ダメージを蓄積した胃に、密かに、確実に忍び寄る小さな肉影にはまだ気付いていなかった•••

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