第五章 MAD MAYUX~髙川・黒田 怒りの古宇利大橋~

「いっっってえええええ!!!!!」

肌を焼きすぎた菊地、早川の悲痛な叫びが目覚ましがわりに響く朝。我々の旅の最終日である。

昼の便で帰る神谷を送る組と、掃除片付けをしてコテージのチェックアウトをする組とに分かれた。結局、例のコンロを掃除したのは菊地だった。あれはトングで遠くへ飛ばしてくれた。

チェックアウトを済ませ、我々六人は合流。二台のレンタカーで古宇利大橋へと向かった。

古宇利大橋は本島から古宇利島へ架かる橋だ。その橋から眺める風景は沖縄の中でも屈指の絶景と言われる。

古宇利大橋を渡る前に記念撮影。砂浜に打ち上げられた珊瑚や地層が見える崖、そこにいるカニやヤドカリを見て過ごした。

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そろそろお昼ごはんの時間だ。車を停めた場所にもオシャレなお店があったが、せっかくだから古宇利島で食べたい。とりあえず、車で古宇利大橋を渡ることにした。

古宇利大橋から見る景色に、我々は感嘆しっぱなしだった。美しい水色と深い青色に彩られた海が、果てしなく続いている。思えば沖縄に来てから三日間、夜に雨が降りはしたが、我々が外にいる間は絶え間なく晴れ渡っていた。その日も太陽の光が反射して、海はキラキラと輝いて見えた。

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古宇利大橋を渡り終え、近くの道の駅のような場所に入った。……思ってたのと違う。そろそろ、クーラーの効いた場所でごはん食べたい。我々は大橋を引き返すことにした。

「黒田、髙川、運転すれば?」

内山と早川が軽口を叩く。黒田は「無理だって~~~」と軽口で返すつもりだった。しかし。

「あー、うん、いいよ」

髙川が言い放った言葉に、黒田は凍りついた。「私たち、ペーパードライバーだからね」と言って笑い合っていたではないか。それなのに……これは裏切りと受け取ってもよろしいだろうか。

と自分勝手に呆然としていたが、実際、髙川は時々自分の家の近くを自家用車で運転する練習はしていた。今年の冬に二年半ぶり、免許を取って初めて運転し、自宅付近の塀に激突しそうになったとかいう戯け者とは違うのだ。

髙川は余裕の表情で運転席に座り出した。黒田はもう一台の車の前に立った。私も運転すべきか?ここから橋の先までは、信号もない一本道だ。いやしかし、免許を取ってから丸三年、一度しか運転したことがない。その一度で父親から「お前には才能がない」と諦められた本物の下手くそだ。

黒田は後部座席に乗り込んだ。

天使(そうよ、無理することないわ。安全第一。この間、東も言っていたじゃない。「出来ないことはすべきではない」)
悪魔(いやいや大丈夫だよ、ただの一本道さ。事故りようがない。何よりもお前、それじゃノリ悪いぜ?お前からノリの良さをとったら何が残る?)
???(MAYUX? Are you MAYUX? How are you? How are you?)
天使(失礼ね、ノリの良さ以外にも良いところはあるわ……えっと、あの、その……ちょっと今ド忘れしただけで)

「ああああぁぁ……運転、します……」

黒田は山谷、早川、自分の命を生贄に、ノリをとった。

~髙川車の感想~
内山「最初駐車場から出るとき凄いスピードを出すからまじで焦ったんだけど、慣れてきたらちゃんと普通に運転できてたよ」
髙川「家の車のアクセルより効きが良かったんだよね」

~黒田車の感想~
黒田「きちんと真っ直ぐ運転することができました。楽しかったです」
早川「怖すぎる。駐車場出るために左折右折する度にブレーキ踏むし」
山谷「駐車が致命的に下手。なぜ白線から45度も傾いて停めるのか」
内山「黒田、帰りの運転も頑張れよ」
黒田「うん!」
早川&山谷「絶対にやめてくれ」

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