俺たちのバケーション:4日目

目覚めた時、私の中を駆け巡ったのは大きな不安であった。

昨晩は一昨日とは違い、私たちは胸の中に溜め込んだ思いを曝け出した。というか酒の勢いに任せて最近できた黒歴史を暴露しまくった。

何かヤバいことを言ってないだろうか……うん、みんなヤバいことしか言ってなかったな。私の凡庸な人生の中にチラと過ぎった特異点の話も、皆の経験談に比べれば紙くず同然。うちのゼミ生は真面目な優等生の殻を被った、愛すべき変人(変態)たちの巣窟であることが、再度明らかになった夜だった。

早いもので卒業旅行最終日。昼過ぎ頃には空港へ向かわなければならない、ということで、今日の予定はお散歩とお土産購入のみ。

まずは、昨日早起き組のみで行った海岸に皆で向かった。

海水ちゃぱちゃぱしてる元気女子、ふみか、まり、おくちゃん。海にテンション上がる男子、菊地ぱいせん、内山。日焼けしたくなくて砂浜にうずくまる、くりちゃん、私。御社を見つめたまま動かなくなった山谷……。

この4日間、色々あったな……いや、違う。びっくりするくらいいつも通りだったわ。皆んなで「やっぱりこのゼミ集団行動できねえな」と言い続けるのもいつも通り。飲み会で山谷と菊地ぱいせんが意外性の高い暴露話を始めるのもいつも通り。ひとを煽るくせに自分のことを何も話さない内山スタイルもいつも通り。ふみかとおくちゃんが深めのお話と秀逸な返しを静かに生成していくのもいつも通り。そこにくりちゃんが底抜けの明るさで突入するのもいつも通り。そして、私とまりが迷子になるのもいつも通り……。

皆でお土産屋に入って、一緒に回っていたはずなのに、ちょっとトイレに行っていた間に、私は迷子になった。どうしようかとぐるぐる歩いていると、同じく迷子になったまりと遭遇した。このシチュエーション、何回目?

二人でブランド化粧品のあたりをふらつくことおよそ三分。そういえば私、そんなに化粧品に興味無いわと気付いてまりを見る。まりも化粧品を見ているようで、その目には映し出されているのは空虚だ。キラキラ女子大生になりきれなかった私たちの末路は「なんか良くわかんない。とりあえずおなかすいた」。二人で酸っぱ目のものを生地で巻く何かと、らーめんみたいだが麺がスパゲッティぽいちょっと辛い凄く美味しい何かを食べた。

その頃、私たち以外は、みんな大好きABCストアでお土産を買ったり、タコスを食べたりしていたらしい。送られてきた写真にきちんとビールが添えられていることから、菊地ぱいせんが撮ったものであることが分かる。

ただ一人、タコスグループにも迷子グループにも所属せず、さすらい歩く者がいた。山谷だ。

「最後に海に行きたい」というまりと一緒に海に向かう道すがら、赤いパンツを見に纏う男が向こうから歩いて来るのが見えた。この男、ここ2時間ほど皆と離れ、何をしていたのか不明だが(本稿作成時、既に島流しにあっていたため)、一人で海を見ていたようだ。

ヤマヤ が 仲間になった!

私たち三人の話題は、専ら「山谷の今後について」。あと一ヶ月と少しで、例の厳しい職場で地獄の日々を送ることになるであろう山谷。彼は最後の自由を、いかに謳歌すべきか。

結局、彼がどんな日々を送ったのか、私は知らない。しかし、彼は勿論、皆にとって、この卒業旅行が、大学生活最終章の良き一ページになったことは間違いないだろう。

内山に、書け書け、書けば良い情報を教えてあげるから、と顔を合わせる度に言われ続け、私も暇そうに見えて色々やることがあるんだよ!と返しながらも、まあキングダムを読み進めるのと同時並行で少しずつ書いていこうと思っていたのに、キングダムが面白すぎて、ふと気がつけばいつの間にか社会人始まってて、内山から「で、ブログは?」と催促され続け、遂には「GW中には絶対あげろ」と期限を決められ、GW一日犠牲にしたみたいな計画性の無い私の日記にお付き合いいただきありがとうございました。内山は今度何かおごって。

一人で書くのはしんど過ぎるから、一日目、三日目はぱいせんお願いしますと、野方の超素晴らしい居酒屋・秋元屋でぶん投げて、二月中に原稿送ってくれた菊地さん、ありがとうございました。遅くなってごめんなさい。今度何かおごります。

実は交友関係が結構狭い私にとって、こんなに素晴らしい先生、先輩、同期、後輩と出会えたことは本当に幸運でした。部活ばかりに精を出し、見学などに行かなかったにも関わらず、ゼミ友を見て「適度に真面目で、適度にリア充、でもキラキラしすぎてないゼミ」というなんとも核心をついた印象を持ち、酔った勢いで倍率を楽観視、徹夜でESを書いてギリギリでも応募して本当に良かったです。二年間ありがとうございました!

飛行機が離陸する。

私も、他の人も、既にうとうととし始めていた。日本に帰り着く頃にはとうに日が落ち、皆ばらばらになって自分の家に帰って行くことだろう。私たちの学生生活も、これにて終了。就職先はばらばら。今後どんな人生を歩むことになるか、自分のことさえもまだはっきりしない。だけど、私たちには帰ってくる場所がある。

いつか絶対、また14期16人みんなで集まろう(もちろん半分13期の菊地さんも入ってるよ!)。それまでみんな、元気で!

おしまい。

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